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デジタル革命

デジタル革命が起こっています。えらく物々しい響きですが、ITの潮流の一つです。何が革命なのでしょうか。
世界的にはUberが有名です。配車サービスですが、既存のビジネスモデルを覆し、大ヒットとなりました。スマートフォンで行き先をタップすると、現在地まで迎えに来てくれて目的地まで送ってくれます。支払いは事前登録のクレジットカードで自動的に支払います。目的地を説明する必要もなく、支払いのチップを気にする必要もありません。簡単で透明性がありとても便利です。私も海外出張時はよく利用します。単なるスマートフォンを使って運転手と乗客を直接結びつけた仲介業(マッチングビジネス)です。これが革命?と思われる方も多いと思いますが、今年の初めサンフランシスコ最大のタクシー会社が破産に追いこまれました。

タクシー事情が良い日本ではUberはあまり馴染みがないので、別の例を書きます。昨今、海外からの旅行者の急増により宿泊施設の不足が言われています。解決策の一つとして一般の民家に泊まる「民泊」という言葉をよく耳にします。その民泊で注目されるのがAirbnbという会社です。スマートフォンを利用して、空いている部屋を貸したい人が情報を提供し予約ができるサービスです。日本では来日する多くの外国人を中心に利用が広がっています。これも先ほどのUberと同じようなモデルで、宿泊を希望する人に空いている部屋を仲介するビジネスの一つに見えます。
今年世界最大のホテル企業になったマリオット・インターナショナルは世界中で110万室を持った業界のトップです。Airbnbは登録部屋数が約80万室で、なんとヒルトンやインターコンチネンタルと肩を並べています。しかし、ちょっと待ってください。なぜ仲介ビジネスと実業を比べるの?と言われそうです。
彼らのビジネスモデルは、利用者との入り口にスマートフォンを利用し、提供者と利用者を直接橋渡しし、お金の業務を代行します。そうです、彼らはホテル企業やタクシー会社を仲介していないのです。Airbnbは現在1,000億円ほどの売り上げがあるそうです。本来ホテル業界が得る可能性のあった収入が奪われたことは明らかです。Uberがタクシー業界から反発を受けたように、Airbnbも多くのホテル業界から反発を受けています。
見る角度を変えてみましょう。仮に、彼らが最初から「世界最大のタクシー会社になる」とか「世界最大のホテル企業になる」という戦略を持っていたとしたらどうでしょう。ビジネスモデルを考え、戦術をうまく遂行してきた結果としたら。例えば、ホテル企業になるにはホテルを建てることだと考えずに、宿泊サービスを提供することをシンプルに突き詰め、世界中で安く簡単に予約ができる宿泊サービスを目指していたとしたら。物から事の時代と言われる昨今、この考え方が革命の意味だと思います。

誰が革命を起こし、誰が攻め込まれるのか。ITを武器に他業界から既存の業界に踏み込んでくる構図です。最初は安かろう悪かろうのイメージがあるかもしれません。また、マーケットプレースや紹介サイトのように仲介業に見えるかもしれません。強敵とはとても思えません。ただ規制や常識にとらわれず、利用者目線で「事売り」で攻めてきます。昔読んだ本に「イノベーションのジレンマ」がありますが、その例にとてもよく似た構図です。
加えて、これらを実現するための技術は一般的なものが多く、ある程度の知識、スマートフォン、インターネット、クラウドコンピューティング等の開発知識があれば誰もが実現可能です。また開発、維持、運用コストが従来に比べ圧倒的に低く、荒っぽく言えばアイデア次第です。スマートフォンの普及率が示すように、現在人々はスマートフォンと言うコンピュータを持ち歩いています。さらにそれに頼りきっています。このことがデジタル革命を後押しし、今後も至る所で起こると思われます。

決して攻め込まれた業界が怠けていたわけではないと思います。しかしコンシューマとコンピュータが一体化したがために、顧客の要求がダイレクトに吸い上げられる時代への対応は急がなければならないと感じます。また逆に、これを一過性の現象と評する人もいますが、さてどのように時代は動くのでしょうか。
私は技術を担当しておりますが、今回はビジネスモデルの話になってしまいました。今、デジタル革命、デジタル・イノベーション、デジタル・ディスラプター、デジタル・トランスフォーメイション等、同じような言葉がよく使われています。ITの流れでとても大きな潮流の一つであるため初回の内容とさせていただきました。今後もできるだけ最近のITトレンドに加え、当社の取り組みに触れていきたいと思います。