第4回「システム運用精度向上で得られる効果は!?」

第4回「システム運用精度向上で得られる効果は!?」

利益管理の精度向上

基幹系システムで期待される大きな機能の一つは利益管理が容易に可能となることでしょう。通常、企業の粗利は棚卸を実施することで把握することができますが、ご承知の通り、人が行う実地棚卸は負担が大きく、年に1回の決算棚卸以外の管理のための棚卸をそうそう増やすことができません。
しかし、競争環境の激しい現代においては、利益コントロールをこまめに行うことが営業上必須となっています。そこで多くの基幹系システムでは、その要望に対応できるよう、期の途中であっても利益を把握できるようにするための仕組みを備えています。
簡単に言うと売上、在庫、仕入、格上格下、値上値下などの情報をもとに、部門別に現時点での利益を計算する仕組みや、単品の売価原価の差から値引額を差し引いた数値の積み上げでカテゴリや部門単位の利益を計算する仕組みなどがあります。これらを利用することで、棚卸をせずとも、現時点の獲得利益の推定を行うことができます。
企業の目標に利益を設定し戦略を組み立ててPDCAを図るためには必須の機能です。

これらの仕組みは計算を行うための基本情報を入力する必要があるため、システムの運用精度が悪いと当然、最終的に計算される粗利の精度も悪くなり、管理数値として使い物にならなくなってしまいます。そのため、全員でルールを守って運用するよう、徹底が必要です。
実際の棚卸から計算された粗利と、システムで計算された粗利との間で差が大きい場合、運用精度になんらかの問題があると考えられます。

具体的には以下の点をチェックする必要があります。

 

店舗オペレーションの負担軽減

基幹系システムには店舗のオペレーションの負担を軽減するための様々な機能が備わっています。運用精度が高まるほど、それらの機能は効果を発揮し、作業全体の生産性を向上することができます。
※注:既導入機器によって非対応の機能もありますので詳しくは担当者にご確認ください

<商品登録のオペレーションの簡略化>
本部からマスタを配信することで店舗での商品登録や売価変更等、各種メンテナンス業務を無くすことができます。

<特売企画のオペレーション簡略化>
特売企画、商品のリスト化や店舗への特売スケジュールの一括送信、発注集計など、特売に関連する業務の負担軽減を行うことができます。

<発注、商品管理オペレーションの簡略化>
発注作業の負担軽減、棚札の発行、ハンディーターミナルによる棚割作成など商品管理にまつわる業務の簡略化を行うことができます。

<分析業務の高度化と簡略化>
様々な角度からの数値分析を行うことができたり、管理帳票類作表の手間を軽減することができます。

 

最新システムへの対応

小売業のためのシステムは日進月歩しており、うまく使いこなせる企業とそうでない企業の間では、生産性についてより一層差が広がってくると思われます。うまく使いこなすための秘訣は、先ずはここまで述べてきたように、先ずは基幹システムの運用精度を高めることがポイントです。なぜなら今後備えてゆくべきシステムは、以下に挙げるように、基幹システムの周辺に付帯するサブシステムであることが多いからです

<自動発注システム>
店舗での補充発注を自動的に行うシステムです。発注作業が無くなり、在庫も適正化されるのだから良いことづくめ!と思われることも多いですが、そう簡単ではありません。店舗では発注業務の代わりに単品の棚登録や在庫を正しい数値に補正を行う作業が発生します。もし商品管理精度が低ければ、補正作業の負担が増大したり、イレギュラー業務が頻発することになります。商品管理精度が一定レベルに無ければ、導入しても結局は店舗で使いこなせず、宝の持ち腐れとなってしまうことでしょう。

<店舗作業管理、レイバースケジュール>
労働人口の減少に伴い、作業の効率化や人配の適正化がより一層クローズアップされています。作業内容と売場スペース、実績からの作業量割り出しや商品の生産管理など、今までよりも細かいレベルでの対応が求められてきます。
これらの対応を進める上でも、基幹系に存在する情報がベースとなってくるでしょう。

<企業間連携>
近年、どの業界も企業内の仕組みは高度にシステム化が進んできました。これからは、それらをどのように繋げて企業間の取組に対する生産性を高めてゆくかがクローズアップされてきます。EDI、SCM(サプライチェーンマネジメント)などに引き続き、今後はCPFR(Collaborative Planning Forecasting Replenishment)や水平的ネットワーク(同業者ネットワーク)などに進展してゆくことでしょう。また、商流だけでなく、マーケティングや販促、BtoCやBtoBなども電子的なやり取りが益々増えてくると思われます。これらの基本となるのも自社の基幹系にある情報なのです。

 

以上、簡単ですがシステム運用精度の向上で得られる効果についていくつか述べてきました。日常業務を改善し、運用精度を高めるのは骨の折れる仕事です。経営者を中心にここで述べたような重要性を意識しながら、全社で前向きに取り組むことが成功のポイントです。

 

【著者:株式会社エムアンドシー研究所 代表取締役 川久保 進一】経営管理修士(MBA)、中小企業診断士、1級販売士登録講師

【株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/)】
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動中。
@rms活用の各種セミナーや利益向上プログラムの企画・実施フォローを行っております。