第2回「分類体系の見直しで売上・粗利の管理精度を向上しよう!(2)」

第1回「分類体系の見直しで売上・粗利の管理精度を向上しよう!(2)」

まずはこれが大事!商品コードの統一

前回の流れで分類体系が決まった後は、それぞれの分類に商品を当てはめてゆきます。その際に使われるのが、商品が固有に持つ商品番号(JANコード)です。食品スーパーの場合、JANコードは大きく2種類に分けることができます。

一つは、メーカーが商品を出荷する際、すでにバーコードとJANコードを付加している商品です。商品パッケージについているJANコードを見ると、おおよそ、その先頭は49や45のものが多い筈です。これは日本を表す国コードで、俗に「49コード」「49商品」などと呼ばれます。

もう一つは、スーパーなどの小売店の内部で加工し、商品化する商品にシールなどで店内にて貼り付ける商品コードです。例えば、市場で仕入れてきた魚は、店内で切り身や刺身に加工され、トレーに盛り付けられ、バーコードが付いた商品ラベルが貼り付けられて売場に並べられます。これらのコードは先頭が02で始まることが多いため「02コード」と呼ばれたり、あるいは店の中独自のコードを意味する「インストアコード」と呼ばれます。

チェーンストア向けの基幹システムでは、すべての管理業務は商品コードを中心に行われるため、しっかりとシステム登録できなければ、業務に混乱を来たし、作業負荷が増えてしまう原因となります。そして、いつまでたっても管理精度が上がることはありません。アームズのような基幹系システムで単品を管理していこうとすると、これらの商品コードをまず統一し、きちんとメンテナンスを行ってゆく必要があります。

今回は適切な基幹系システム稼働に向けて、それぞれのコードで注意すべき点を確認してゆきましょう。

 

JANコードは一緒でも管理項目が統一されているとは限らない!

世界統一規格であるJANコードは、基本的に一つの番号に一つの商品が紐づいています。そのため、たとえ企業や店舗が異なっても同じ番号が使用されています(一部自社コードに置き換えている企業あり)。アームズのような基幹系システムではこのJANコードを管理コードとして使用することで、単品の原売価や販売情報を管理することができます。
例えば「うちは5店舗あるんだけど、各店でこの商品は何個づつ売れたんだろう!?」といったデータも、瞬時に確認することができます。

ところが、同じ企業内であっても、店舗が異なれば商品の情報も異なっている場合もまま見られます。売価など事情によっては店舗で異なっても良い項目もありますが、品名や部門、原価や発注単位など、異なっては困るような項目でも、実際にはなかなか完全には統一されていないようです。

原因は様々ですが、レジの機種やメーカーが店舗間で違ったり、運用面がある程度店舗に任されていたりすると、同じ商品でも店舗ごとに異なる情報となってしまいがちのようです。

各店舗それぞれで商品情報をメンテナンスするのは非効率ですし、基幹系システム導入によって集中管理して効率化を図ったり、正確な利益や商品効率を把握したいところですが、そのためにも、まずは店舗間で異なる情報を統一する必要があるのです。

 

生鮮部門は適切なコード管理でさらに良くなる!

スーパーの店内加工部門である生鮮部門はコードの統一が難しい部門でもあります。店の裁量でコード管理を任せている場合は、当然、店舗間でありとあらゆる項目がバラバラの場合もあります。極端な例ですが、同じ企業内でもある店では「さわら切り身」、ある店では「鰆切身」となっていたり、同じ番号でもある店では鮮魚部門で使われ、ある店では精肉部門で使われる、ということもありうるのです。
これでは販売データを正確につかむことができません。
そのため、基幹系システム導入に当たっては、各部門の責任者がルール決めを行って、コードの運用を定め、そのうえで部門内でも全店統一のコード運用を行う必要があるのです。

その際に重要となるのは、いかに販売データを収集するのか、ということを部門の責任者がしっかりと考え、コード運用を図ることです。

例えばお造り売場を眺めていると「お造り盛り合わせ」大中小と何サイズか用意していても、貼り付けられているラベルは一緒で値段だけ違う、というケースがよくあります。

この場合は、得られる「お造り盛り合わせ」の販売データは1つだけです。少し工夫して、「お造り盛り合わせ(大)」「お造り盛り合わせ(中)」「お造り盛り合わせ(小)」と登録すれば、それぞれのサイズで販売データを得ることができます。
どちらが品揃えの分析を行いやすいかは明白ですね。このように、販売データを生きたデータにすることができるかどうかは運用する担当者の考え方にもかかってくるのです。

政策に合わせて販売データを収集することも重要です。例えば最近は少子高齢化が進み、容量を抑えた小パック商品を品揃えしている企業も多くなっています。ですが、実際にそれらが売れているのかどうかを測るためには、データを収集しなければなりません。当然その為にはコードをメンテナンスする必要があるのです。

 

基幹システム切り替えは商品マスタ見直しのベストタイミング!

前回の分類体系の見直しと同様に、商品マスタの整備についてもシステム切り替えのタイミングで実施する事で効率的に作業を行うことができます。
各部門で品揃えから考え直し、単品レベルまでマスタ整備を行うには大変な労力を必要とします。しかし、通常業務を運用する中でそれらの抜本的な整備を行うことはさらに困難を伴うことになりがちです。

しっかりと整備を行うことができれば、精緻な数値管理や分析業務が実施可能になり、かける労力に見合う以上の効果を期待することができます。

システム導入時であれば専門家の助力なども得られやすくスムーズに進めることができますので、システム導入の際には是非、見直しに取り組んでいただきたいと思います。

【著者:株式会社エムアンドシー研究所 代表取締役 川久保 進一】
経営管理修士(MBA)、中小企業診断士、1級販売士登録講師

【株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/)】
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動中。
@rms活用の各種セミナーや利益向上プログラムの企画・実施フォローを行っております。