第6回目は、これまで見てきたようなデータ活用の手法を有効的に実践に活かすために何が必要なのか考えてみましょう。
●目標づくり
ここまでは、データ分析ツールを使って業績を向上する方法をいくつかご紹介してきました。これらの手法を何回か繰り返すうちに、現状の数値が改善できる事を実感できると思います。
そうこうして手際よくデータ活用を使いこなし、業績を上げる事ができるとわかったとして、さて、どこまで業績を高めることができますか!?また、どこまで高めるべきでしょうか。
売上と利益を追求し、現場に求めている企業はよくありますが、その中にいると、ふと疑問を持たれる方も居るかもしれません。
「売上向上と利益向上は両立できないのでは?」
「利益率を追求しすぎるとお客様が離れてゆくのでは?」
「売上を高めるにも限界があるのでは?」
などなど・・・
そのような時、何を拠り所に仕事を進めればよいのでしょうか。
その拠り所が「目標」です。
企業として予算の設定がなされていればそれが目標となるでしょう。ところが、予算が精密に設定されてない企業も実際には多々あります。また、その企業が置かれている状況によっても目標の正解は様々あると思います。
「目標」は拠り所ですので、目標がなければ計画が立て辛く、計画が立て辛ければ、売場づくりやその検証もやりにくいので、明確な目標はデータ活用に必須と言えます。
では、自分が目標とすべきものが見えない場合にはどうすべきでしょうか
その答えは色々考えられますが・・・
まずは自社内のナンバーワンを目指しましょう!
●他店との比較
さて、ナンバーワンを目指すにしても他の店舗の数字がいくらなのかわからなければ話が進みません。企業によっては会議などで資料が配られることもあると思いますが、ここでは基本帳票作成ツールを使った比較帳票をいくつか確認してみましょう。
図1は最も基本的な表です。店舗が縦軸に取られ、各項目が横軸に並んでいます。時間軸は日・週・月で用意されています。部門を絞り込んで自分の担当している部門を表示し、比較してみましょう。店舗ごとに売上が大きく異なる場合、比較する数字は予算比や昨年比を使用すると比較しやすくなります。
次は、推移で実績を比較する帳票です。実績はたまたま良い時や逆にたまたま悪い時がどうしてもあります。そんな時、推移で実績を確認すると、おおよその傾向がわかるので、比較しやすくなります。また、改善に取組んでいる時などは、その進み具合を確認するのにも推移表がわかりやすいでしょう。
基本的には実績表と推移表で自店と他店を比較する事ができますが、「基本帳票作成ツール」には応用として「週次指数マトリクス」(図3-1)という帳票があります。
昨年比で自分が担当している部門を他店と比較した場合、時に理不尽な事が発生します。部門は店舗の一部分ですから、例えば、店舗全体の客数がなんらかの要因で去年と比べて極端に少なかった、などの場合、どうしても他店と比べ見劣りしてしまいます。競合店が近隣にできた時などは、しばらくずっと昨年比が悪いまま、といったこともあります。
そのような時は、店舗全体の昨年比を100として各部門の昨年比を再計算(図3-2)します。
(例:店舗全体昨年比90% 自部門95% →再計算後 店舗全体100% 自部門105%)
この数値はある意味、店舗にどれだけ貢献したか、足を引っ張ったか、という基準で見る事ができますので、他店との純粋比較に利用できます。
このような帳票を利用しながら目標を作り、その目標に達成できるよう、手立てを実行しながら、そして、また、これらの帳票で結果を確認する事が基本の流れです。
まずは自分の受け持つ部門と他店と比較し、目標づくりを行ってみましょう!
【著者:株式会社エムアンドシー研究所 川久保 進一】
株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/)
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動しています。
@rmsではシステム全体構想時からサイバーリンクス社と協力体制を構築しており、特に分析系ツールにおいては小売支援現場で培った様々なノウハウを提供しています。