第2回 生鮮部門「利益コントロールで脱!どんぶり勘定」大作戦!【後編】

今回はアームズを活用し、生鮮部門で日々の利益管理を行う具体的な手法についてご紹介します。

本来、粗利益を確定させるには棚卸が必要になりますが、棚卸作業を毎日行うのは現実的ではありません。その為、生鮮部門では、多いところで週に1度、少ないところでも月に1度程度のサイクルで棚卸を行い、利益の管理を行っている企業がほとんどだと思います。

しかし、日々利益を確保しながらもダイナミックな売場づくりでお客様に提案を行ってゆくには、それでは不十分です。
そこで、日毎の値入ミックスによる管理手法を導入し、おおよその利益を把握しながらリスクコントロールされた売場づくりを行ってゆく必要があります。

 

1.目標値入率の設定

なにはともあれ、まずは各店の各生鮮部門で目標値を設定します。
ここではある店舗の水産部門の例で確認してゆきます。

【図1.値入ミックス目標】

この企業の水産部門粗利益率予算は31%で、この店舗の水産部門平均ロス率は5%とします。簡易的に 粗利益率 + ロス率 = 値入率 と捉えると値入率予算は36%となります。

部門の商品を「低値入=主にチラシ・インプロ商品」「高値入=おすすめ、利益商材」「定番=それ以外」と3つに分け、それぞれの構成比、値入率を設定します。
※初回で内訳がわからない場合は後述の日別値入管理表で一度現状数値を算出してから目標設定を行います

 

2.日別値入管理表の作成    日別値入管理表2014税対応版v2(売上計算式入)

「低値入」「高値入」のメイン商品に関して、伝票から原価を計算し、設定した売価と共に表に記入し、目標値と実績値を埋めてゆきます(図2)。
単品レベルで伝票から数値を拾うため、正確な値入を算出できます。
「定番」は部門の売上から「低値入」「高値入」を除いた金額になります。値入率は定番商品のおおよその平均値入率を設定しておきます。実績はアームズのMDツール、単品実績から簡単に調べることができます。図3が出来上がりイメージです。
完成した表で実績と目標の乖離を確認し、今後の対策を検討します。

【図2.日別値入管理表】

【図3.日別値入管理表見本】

※株式会社エムアンドシー研究所「週間マネジメント7つ道具マニュアル」より

 

3.日々の累計と週間実績の確認

日別値入管理表の昨日実績を入力した後、週間値入管理表(図4)を確認します。
週の途中で目標値と実績に乖離がある場合、週の後半の作戦を変更し、再度目標を目指して利益コントロールする事ができます。

例えば水曜日の段階で次のような場合・・・
利益は取れているが売上が予想より低い → 週末に大インプロを展開し売上確保
売上は取れているが利益が予想より低い → 週末に高利益商品を大展開して利益確保

【図4.週間値入管理表】

※株式会社エムアンドシー研究所「週間マネジメント7つ道具マニュアル」より

 

4.店長とのミーティング

これらの計画と実績を元に、日々店長とのミーティングを実施します。


「鮮魚部門チーフと店長のミーティング」

 

5.棚卸結果との突き合わせ

週間値入管理表の結果+週間ロスの結果と棚卸の結果を突き合わせて乖離具合の確認を行います。それを続けてゆくうちにマージンがわかってきます。週間ロスはアームズのMDツールで簡単に確認することができます。
いかがでしょうか。
簡単に説明しましたが、アームズを利用した生鮮利益コントロールのPDCAサイクルを現場でしっかりと定着することができれば、確実に業績の改善を図ることができます。

もしアームズを利用されていなくても、手作業で値入コントロールは可能ですので、今回ご紹介した手法を参考に、是非、改善に取組んでみてください。

 

【著者:株式会社エムアンドシー研究所 川久保 進一】
株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動しています。
@rmsではシステム全体構想時からサイバーリンクス社と協力体制を構築しており、特に分析系ツールにおいては小売支援現場で培った様々なノウハウを提供しています。