第4回 上手に売り込み商材を見極めて業績アップ!大作戦!


 第4回目は、第1回でも取り上げたABC分析を使って、どんな商品を売り込んでゆけば業績を高めることができるかを調べる方法についてご紹介します。

●販売拡大のコツ
 2つの味の異なる商品A,Bが隣り合って3フェースずつ陳列されていたとします。同じ期間でAが20個、Bが5個売れました。合計で25個販売できたわけですが、この場合、もちろんAの方が良く売れる商品だったわけです。

 では、Bを5フェースに広げ、Aを1フェースに狭めると販売合計はどうなるでしょう?
 また、Aを5フェースに広げ、Bを1フェースに狭めると販売合計はどうなるでしょう?

 陳列に必要なスペースはどれも変わりありません。ですが、合計の販売数には違いが出てくるだろうと想像できます。この場合、一般的には3番目のA5B1の場合が最も販売数量が上がるであろうと考えられます。

 「売れ筋拡大、死筋排除」良く売れる商品を広げ、あまり売れない商品を狭めてゆこうという事で、これが考え方の基本です。
 この言葉と意味をご存知の方は多いと思います。ところが、みんな売場でどうこれを実践しているか!?と問いかけてみると、勘と経験でなんとなく・・・という方も多く見かけます。これでは効果的とは言えません。

 あまりにも商品の数が多く、人が勘と経験だけで実践する事は現実的にはできないのです。
 
 
●売れ筋と死筋を分析する
 売れ筋商品の把握にはABC分析(パレート分析)を利用します。

図1 MDツール→ABC分析→カットアイテム抽出

図1はあるスーパーのカレー売場のABC分析結果です。
売上高の高い商品から並べて、金額を足して行き、上位75%に占める商品アイテム数が59、75~90%の間にある商品アイテム数が43、残り90%~100%が80となっています。
全体で182アイテムですから、約1/3の商品で売上の75%を作っていることになります。

上位75%に入っている商品が「売れ筋商品」と言えるでしょう。
MDツールでは各数値をクリックすることでその商品の実績が表示されます。(図2)

図2 売れ筋商品の単品実績

これらの商品の売場拡大を検討することがひとつ、方法として考えられます。
売場を減らす商品を探すには、逆に90%~100%の間にある商品を調べれば良いのです。
 
 
●実戦での活用
 やってみると分かってきますが、売れ筋商品の中には「ほっておいても売れる」という商品が結構存在します。あるいは、売ってもあまり利益が無いのでできればほかの商品を売り込みたい、と思えるような商品も多い事でしょう。
 そのような時のために、MDツールのABC分析では売上と利益のマトリクスで見る機能が備わっています(図3)。

図3 売上高/粗利益率のマトリクスABC分析

先程と同じカレー売場の数値ですが、今度は横軸に粗利益率が取られています。
マトリクスを見ると、「売れていて、儲かっていない・儲かっている」「売れてなくて儲かっている・儲かってない」など、様々な切り口で商品を探すことができます。

これで拡大すべき商品、そうでない商品はわかってきそうです。

では、マトリクスのどの枠の商品を拡大し、売り込むべきでしょうか!?

私のおすすめは、「売れ筋商品」ではなく、「2番手」の商品です。今は売り込んでいないけど、そこそこ売れているし、もっと売り込んだら爆発的に売れるかも!?
そんな商品は大々的にやってみる価値があると思いませんか!?

ABC分析を使って商品を調べる時期、頻度は、部門やカテゴリによっても変わるでしょうが、

・エンドの展開を考えるとき
・平台に置く商品を考えるとき
・棚替えを考えるとき

などがタイミングとしては良いでしょう。

是非、色々な仮定を組み立てて、現場で実践してみてください。

 

【著者:株式会社エムアンドシー研究所 川久保 進一】
株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動しています。
@rmsではシステム全体構想時からサイバーリンクス社と協力体制を構築しており、特に分析系ツールにおいては小売支援現場で培った様々なノウハウを提供しています。