前回第6回目では目標の作り方を見てきました。今回の第7回目では、目標に向けてデータを確認しながら、具体的な作戦に落とし込んでゆく方法を考えてみましょう。
1.目標の確認と行動計画
前回は自身で担当する部門と他店舗の同部門との数字比較等を通じて、どの程度の水準が必要かを見極め、目標設定を行う方法を確認しました。売上や利益の目標が決定したら、次はそれをどう具体的な行動計画に落とし込んでゆくのかが重要となってきます。
目標と行動計画は一回立てれば終わりではなく、定期的なサイクルで検証と新たな計画立案を繰り返す必要があります。これがいわゆるPDCAサイクルです。
※PDCAサイクル→Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(行動)を繰り返す仕事の流れの事
このPDCAサイクルの期間は、取扱い部門の性質によっても変わってきますが、食品スーパーの場合は週間単位と考えればよいでしょう。要するに、1週間単位で目標との差を確認し、次週の計画を立て、そして実行してゆく、その流れを作ることが重要です。
2.計画の詳細立案
目標設定では自分の担当する部門全体の目標を作成しました。ところが、いざ具体的に計画を立てようと思っても、あまりにも漠然とし過ぎてうまく考えられない場合があります。そこでまずは部門を分解し、より単品に近づけて何を行ってゆくか検討してゆきます。
●カテゴリ別の数値分析
たいていの場合、部門は複数のカテゴリに別れていますので、まずは全体で良かったかどうかを確認した後、カテゴリ別の数値分析を行います。
部門全体で成績が良くても、カテゴリ単位で見ると問題がある場合もあります。また、計画を立てるにしても、すべてのカテゴリ、すべての単品で計画立案するのは現実的ではありません。どのカテゴリの実績が良かったのか悪かったのかを調べ、足を引っ張っているカテゴリは何なのか、伸ばせそうなカテゴリはなんなのか、それらの把握に努め、要チェックカテゴリを決め、どの水準(例えば昨対クリア等)に持ってゆきたいか、まず決めます。
●単品の実績確認
すべての単品実績を確認するのは現実的ではありません。そこで、先ほどチェックした要チェックカテゴリの、しかも上位商品のみ確認することにします。
図2MDツール → 自店単品ランキング(本年上位と昨年上位)
※図1の「単品」ボタンからジャンプする事ができます。
これらの単品から、改善が必要なもの、もっと売り上げが伸ばせそうなものを探してゆきます。昨年の販売上位と今年の販売上位、それぞれ上位30品ずつ検討してゆき、目標と現状の差に応じて、数件の対策を決定します。
●他店の単品売れ行きチェック
他店で売れていて自店で売れていないもの、力を入れていなかったものが無いかチェックし、計画に含むべき事項が無いか検討します。
図3 MDツール → 単品ランキング(図2からジャンプできます)
●計画の立案
以上のように、自店のデータを見ながら具体的な計画に落とし込んでゆきます。
この際、「第3回 販売データで簡単チャンスロス発見。売り逃し撲滅!大作戦!」の内容も同時に実行すると精度が格段に上がります。
はじめは図4のように簡単な計画で十分です。本部からの販売指示商品とのバッティングには注意しましょう。また、計画の中に本部指示商品を盛り込んでも良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。立案した計画は確実に実行し、途中経過をチェックしながら、最終検証を行ってPDCAサイクルを確立しましょう。
【著者:株式会社エムアンドシー研究所 川久保 進一】
株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/)
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動しています。
@rmsではシステム全体構想時からサイバーリンクス社と協力体制を構築しており、特に分析系ツールにおいては小売支援現場で培った様々なノウハウを提供しています。