第8回 値入ミックスによる利益コントロール①


 今までは主に売上をどう高めてゆくかと言う観点でデータの見方をご紹介してきましたが、今回と次回は、値入ミックス手法とアームズを使いながら、各部門の利益コントロールを行ってゆく方法を考えてみましょう。

 
1.値入ミックスとは

 商品には様々な特性があり、値入(原価と売価の差)も様々です。例えば、チラシや集客のために用意する特売品は値入が低い場合が多いでしょう。一方で、特にTV等メディアでも宣伝せず、あまり有名でないメーカーの商品は比較的値入が高く設定されていることが多いかもしれません。

 売価は商品を販売する企業が決定権を持っていますが、その商品が売れる値段でつけなければならないため、値入率を一本化することはできません。また、集客目的で商品を展開する時や、逆に手間を掛けてでも提案したい商品を展開する時など、企業が戦略的に値段を決定する場合もあります。

 最終的にはそれらがすべて合わさって部門や会社の粗利益に繋がるわけですが、当然値入の低い商品ばかりが売れると全体の粗利益も少なくなります。ゆえに、この辺りの数値管理をアバウトにやってしまうと、思わず利益を落す結果になりかねません。

 値入ミックス管理は、これら異なる値入の商品群をうまく組み合わせてトータルの利益確保を図る手法です。

 
2.商品のグルーピングでミックスする

 値入ミックスでのトータル利益コントロールを小売業等、多数品目取扱い業種で行う場合、全品管理する事は現実的ではありません。そのため、ある程度商品をグルーピングしてグループ単位で管理を行います(図1)。

図1 値入ミックス表

相乗積=構成比×値入率

 図の例では、定番商品、低値入の商品、高値入の商品と、3つのグループに分けています。こうすることで、それぞれのおおよその構成比、値入率がわかればトータルの値入率を算出する事ができます。
 このように、商品をグルーピングしてそれぞれの構成と相乗積を見ることで、全体の構造が理解しやすくなります。利益を取るべきグループがしっかり利益を確保できているのかどうか、集客のための特売をやり過ぎていないか、あるいはもっとお客様に利益還元できるかどうか、等、販売戦略を練るためには必須の帳票です。

 計算の方法は下図のとおりです。

図2 トータル値入率の計算方法

 先ずはそれぞれのグループごとに構成比と値入率が算出できれば、表を作ることができ、現状の実態を把握することができます。アームズMDツールでは、特定の単品を登録して、一定期間の売上やみなし粗利(≒値入)を確認することができる帳票があります(単品の原価登録を行っている部門のみ)。

<MDツールで単品を登録する場合のメニュー>
MDツールメニュー → 特定単品チェッカー → 特定単品実績(設定)

<MDツールで単品実績を確認する場合のメニュー>
MDツールメニュー → 特定単品チェッカー → 特定単品実績(実績確認)

 上記表の場合、定番商品は数が多すぎて登録することが難しいかもしれませんが、低値入商品と高値入商品はそこまで多くないため、登録できるはずです。登録するとそのグループでの実績数値を確認する事ができるようになりますので、あとは上記値入ミックスの表を作って現状の利益構造を確認してみましょう。

 次回は値入ミックスの具体的活用法と生鮮部門での値入ミックスについて解説します。
 
 

【著者:株式会社エムアンドシー研究所 川久保 進一】
株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動しています。
@rmsではシステム全体構想時からサイバーリンクス社と協力体制を構築しており、特に分析系ツールにおいては小売支援現場で培った様々なノウハウを提供しています。