第5回 生鮮部門のロスをコントロールして利益向上!大作戦!


 第5回目は、生鮮部門でしっかり利益を出すには重要となるロス対策について、データの見方のコツを解説してゆきます。

・利益を分解してみる

まず、「粗利益」の中身を分解してみます。そうすると、まず、大きく「値入」と「ロス」に分ける事ができます。販売する前に決定した売価から原価を引いたもの、つまり「値入」から「ロス」を引いたものが「粗利益」になります。

という事は、仮に「粗利益」が思ったような実績に届いていない場合、その原因は「値入」か「ロス」のどちらか(あるいは両方)に原因があるという事です。
「値入」は比較的コントロールしやすい数値です。問題は「ロス」で、ここを如何にコントロールするかが安定して利益を確保するためには重要となります。

さらに、「ロス」は「廃棄ロス」と「値下ロス」に分ける事ができます。
※ロスの概念はもっと幅広いですがここでは計算上発生するロスについて解説します。

どの商品で、どのくらい廃棄と値下げが発生しているのか!?それを把握する事がロスをコントロールするための第1歩となります。

・廃棄の登録

値下げはレジで売上が計上される際に自動的に判別されますが、廃棄はハンディターミナルなどで別途登録する必要があります。この処理を忘れると正しく数字が把握できませんので重要です。

・他店と比較してみる

数値が把握できるようになったら、自社の他店と比較して目標を設定します。
比較の数値は「ロス率」です。ロス額だけで数字を見ても、店の大きさによってバラバラな金額になるため比較しづらいので、管理レベルを測るには「ロス率」が適切です。
また、推移で「ロス率」を見ることで、平均的な数値が推測できます。
※ロス率 = 売上高に占めるロス額の割合。低い方が良い

もちろん目標は「全店でトップレベル」です!

図:MDツール ロスチェッカー → 15週ロス率推移表

(画像クリックで拡大表示可)

・改善のポイント

まず、毎週のロス額を年間に換算してみます。部門によっては莫大な金額になるので、毎日のちょっとした積み重ねがどのような結果に繋がるか、実感することが第一歩です。

改善を行うには単品のロスを確認します。全アイテムを確認して対策をするのは現実的ではありませんので、毎週上位10アイテム程度に絞り込んで数字を確認し、対策を打ちます。

図:MDツール ロスチェッカー → 単品ロス管理表

・対策の考え方

ロスの多い商品を把握できたら、その内訳(値下げが多いのか廃棄が多いのか)を確認します。
部門や店舗の置かれている状況によって対策は様々ですが、以下にいくつか対策の例を示しますので参考にしてみてください。

・販売日を限定する(毎日→曜日を限定する)
・販売時間帯を調整する
・製造量を調整する
・販売場所を変更する(よく売れる下段に変えるなど)
・フェース数を変更する
・バッティングする商品がある場合は調整する
・他の死筋商品をカットする
・取扱いそのものを再検討する
・値下げのタイミングを変更する

いかがでしょうか。組み合わせて実行できることもあるかもしれません。

継続して毎週数値確認を行い仮説を立て、検証をしながら進める事が重要です。

年商100億円の企業でロス率1%削減できたら1億円の粗利改善です!
是非、一度お試しください!

【著者:株式会社エムアンドシー研究所 川久保 進一】
株式会社エムアンドシー研究所(http://www.mac-lab.co.jp/
平成元年設立。流通業、中でも主にスーパーマーケットの業務支援を中心に活動しています。
@rmsではシステム全体構想時からサイバーリンクス社と協力体制を構築しており、特に分析系ツールにおいては小売支援現場で培った様々なノウハウを提供しています。